メニュー  l 1号 l 2号 l 3号 l 4号 l 5号 l 6号 l 7号 l 8号 l 9号 l 10号 l 11号 l 12号 l 13号 l
 l 14号 l 15号 l 16号 l 17号 l 18号 l 19号 l  20号 l 21号 l トップページ l 
 l 会報・関連記事のメニューへ戻る l
 荒川水系渓流保存会 会報 第21号 (2006年)
●荒川水系渓流保存会会報 第21号  編集責任 黒沢和義
秩父漁協によるイワナ保護の看板設置について

                         関根 武

1,経緯
 荒川水系渓流保存会では、秩父漁協に対して在来イワナ保護の為に源流部の禁漁区設定と看板の作成設置を働きかけてきました。この要望をしてきたのは、秩父漁協にも在来イワナ保護活動を行ってほしいと考えたからです。そこで、秩父漁協の総代をやっている須崎会長と関根が、総代会でも看板設置を要望しました。2005年の漁協の総代会で、漁協の執行部(理事会)が了承したため、設置の運びとなりました。設置場所、看板の内容について漁協から保存会あてに打診があったので、検討して原案を出しました。そして、写真のように決まりました。

2,できあがった看板 写真@とA
看板は2種類あります。文面は同じですが、国立公園の特別区には、材料の規制がかかるためです。設置場所も保存会で検討し、釣り人が多く入る渓の目につき易いところを選びました。保存会の原案どおり27ヶ所です。(1ヶ所は国立公園の設置不可地区のため却下)看板の設置に際しては、地権者の方(営林署、東大演習林、三峰神社、行政等)の承諾や国立公園の法律に則った複雑な手続きを経ています。この手続きは、漁協の吉田理事(大滝地区選出)にやっていただきました。

 
  @看板 一般地区用        A看板 特別区域用

中津川水系 1  入川水系 5
滝川水系 12  荒川水系(大除沢) 1 
大洞川水系 8
合計 27

         

3,設置作業
@日程 2006年5月4日〜6月17日
A設置協力者(河川の引いてある人は荒川水系渓流保存会の会員 敬称略)
厚目阿部大村黒澤佐藤須崎藤木吉瀬・関・高橋・立田・長南・関根
総代会での設置協力発言は、保存会を代表するものではなく、関根個人が請け負ったものだったのですが、須崎会長と関連した発言だったため、漁協には、保存会で請け負うように映ったようです。そこで、事後承諾の形で保存会の方々のも協力を依頼したところ、十数名の方々に協力をいただきました。感謝!感謝!です。

        
        
B費用 ボランティア協力
漁協からは費用弁償の話がありましたが、これは金銭の問題ではなく、あくまでボランティア活動としたかったため、金銭は受け取りませんでした。

4,今後に向けて
秩父漁協2006年度の総代会では、簡単ではありますが、看板設置に関する報告がなされました。これを機に在来種の棲息する渓に保護の目が向けられればいいと思います。また、来年度の重点施策のひとつに、秩父イワナの保護という項目が提案されています。予算はついていませんが具体的な方策を提案していくいい機会だと思います。
2003.01.03  関根 記
秩父イワナの遺伝子解析 
                         大村和也


2000年より遺伝子解析のための試料採取を実施してきました。解析については様々な経緯があり、その一部は独立行政法人水産総合研究センターの山本祥一郎氏によって、日本各地のイワナ個体群の比較研究から、地域間の在来イワナに固有な遺伝子情報がありそうなことが明らかになってきました(Yamamoto Syoichirou etal.(2004)Phylogeography of White‐Spotted Charr(Salvelinus leucomaebnis)Inferred from
Mitochondrial DNA Sequence Zoological Science 21:229‐240)。


そしてこの度、大村が秩父地域のイワナについて遺伝子解析の仕事をする機会を得て実験をしているところです。具体的にはマイクロサテライト(注1)分析を行い、集団遺伝学的解析(注2)により、集団による多様性の違いを明らかにする予定です。なお、これに関連して2006年7月、8月に大洞川への移植伝承のある山梨県一之瀬での試料採取を行いました。


           
 
     遺伝子解析実験の様子(慣れない仕事に悪戦苦闘)


注1
DNA上で塩基の配列中に、同じ構造を持つ部分が2〜5対繰り返し並んでいる部分のこと。種内の系統関係や個体群内の血縁関係を調べる上でマイクロサテライトの存在が重要視されており、近年、集団遺伝学や生物社会学の研究に利用されている。

注2
集団(同じ種の個体が集まってできるグループ)の遺伝的な特徴を見出す方法。




 お 知 ら せ
          総会開催します

 1、日時 2月24日(土)  午後1時半〜
 2、場所 秩父婦人福祉会館 1F 第4会議室 
 3、住所 秩父市野板町1-13-14
       TEL 0494-22-4050
 ※飼育池作業 午前10時〜
 ※終了後、懇親会を予定しています。
 連絡先
  Eメール <mailto.amp@bb.wakwak.com>
        amp@bb.wakwak.com
       п@0494-24-4047 須崎
2006年 秩父イワナ調査         厚目 順

8月12〜13日、須崎会長、関根さん、厚目の3名で大洞川本流にて秩父イワナ棲息調査を行いました。当初の予定では大滝を越え井戸沢を詰め将監峠に上がる予定でしたが、高い確率で雷雨の可能性がある為予定を変更し栂沢出合にテン場を置いて軽身での調査としました。シーズンも後半のため場荒れしていましたが何とか源流域まで調査することができました。
しかし残念なことに奥新左衛門沢出合でイワナとヤマメの交雑種と思われる個体が確認され憂慮されます(写真参照)。数年前何者かによって放流されたヤマメが世代を重ねている事になります。2年前にヤマメを確認した時には水温の関係で淘汰されると考えていたのですが・・・・これも地球温暖化の影響でしょうか?
帰路はテン場より尾根越えの路を辿り山ノ神、鹿の楽園経由で下山しました。参加された皆さんお疲れ様でした。

     
  調査する会長(キンチヂミ入口)  キンチヂミを高巻き中

    
 栂沢出合に置いたテン場  イワナとヤマメのF1と思われる
                    個体
採卵と受精卵の孵化         須崎武男

11月5日、4〜5年魚から約10万粒の卵を採ることができました。そして、その卵を孵化水槽と円筒型孵化装置に分けて入れました。
 ですが、11月7日には、水がすべて止まっていました。そのため、円筒型孵化装置の卵は全滅してしまいました。
11月26日には、全滅の心配もあったので、2年魚よりの採卵を行いました。ここでは、作業効率を高めるため、麻酔をしてから雌雄分けをし、採精・採卵をするという方法をとりました。これにより少人数でも短時間で採卵作業ができることがわかりました。

これらの結果ですが、5日に採卵した水槽の卵は、ほとんどが発眼しました。26日の卵はすべて死んでしまいました。水温が高かったことと・未成熟が原因かと思います。
発眼した卵は、水生菌で2〜3割が死んでしまいましたがそれ以外は現在無事に稚魚となっています。昨年は孵化してから稚魚が集まり過ぎて圧死してしまいました。そこで、今期はその失敗をしないように、かごや孵化盆を用い稚魚をなるべく分散するようにして飼っています。今期は稚魚を少し大きくしてから放流したいと考えています。

  
         孵化した稚魚(1月3日)


   重ねたカゴの稚魚          孵化盆の稚魚
メニュー  l 1号 l 2号 l 3号 l 4号 l 5号 l 6号 l 7号 l 8号 l 9号 l 10号 l 11号 l 12号 l 13号 l
 l 14号 l 15号 l 16号 l 17号 l 18号 l 19号 l  20号 l 21号 l トップページ l 
 l 会報・関連記事のメニューへ戻る l