秩父漁協によるイワナ保護の看板設置について
関根 武
1,経緯
荒川水系渓流保存会では、秩父漁協に対して在来イワナ保護の為に源流部の禁漁区設定と看板の作成設置を働きかけてきました。この要望をしてきたのは、秩父漁協にも在来イワナ保護活動を行ってほしいと考えたからです。そこで、秩父漁協の総代をやっている須崎会長と関根が、総代会でも看板設置を要望しました。2005年の漁協の総代会で、漁協の執行部(理事会)が了承したため、設置の運びとなりました。設置場所、看板の内容について漁協から保存会あてに打診があったので、検討して原案を出しました。そして、写真のように決まりました。
2,できあがった看板 写真@とA
看板は2種類あります。文面は同じですが、国立公園の特別区には、材料の規制がかかるためです。設置場所も保存会で検討し、釣り人が多く入る渓の目につき易いところを選びました。保存会の原案どおり27ヶ所です。(1ヶ所は国立公園の設置不可地区のため却下)看板の設置に際しては、地権者の方(営林署、東大演習林、三峰神社、行政等)の承諾や国立公園の法律に則った複雑な手続きを経ています。この手続きは、漁協の吉田理事(大滝地区選出)にやっていただきました。
@看板 一般地区用 A看板 特別区域用
中津川水系 1 入川水系 5
滝川水系 12 荒川水系(大除沢) 1
大洞川水系 8
合計 27
3,設置作業
@日程 2006年5月4日〜6月17日
A設置協力者(河川の引いてある人は荒川水系渓流保存会の会員 敬称略)
厚目・阿部・大村・黒澤・佐藤・須崎・藤木・吉瀬・関・高橋・立田・長南・関根
総代会での設置協力発言は、保存会を代表するものではなく、関根個人が請け負ったものだったのですが、須崎会長と関連した発言だったため、漁協には、保存会で請け負うように映ったようです。そこで、事後承諾の形で保存会の方々のも協力を依頼したところ、十数名の方々に協力をいただきました。感謝!感謝!です。
B費用 ボランティア協力
漁協からは費用弁償の話がありましたが、これは金銭の問題ではなく、あくまでボランティア活動としたかったため、金銭は受け取りませんでした。
4,今後に向けて
秩父漁協2006年度の総代会では、簡単ではありますが、看板設置に関する報告がなされました。これを機に在来種の棲息する渓に保護の目が向けられればいいと思います。また、来年度の重点施策のひとつに、秩父イワナの保護という項目が提案されています。予算はついていませんが具体的な方策を提案していくいい機会だと思います。
2003.01.03 関根 記
|
|
秩父イワナの遺伝子解析
大村和也
2000年より遺伝子解析のための試料採取を実施してきました。解析については様々な経緯があり、その一部は独立行政法人水産総合研究センターの山本祥一郎氏によって、日本各地のイワナ個体群の比較研究から、地域間の在来イワナに固有な遺伝子情報がありそうなことが明らかになってきました(Yamamoto
Syoichirou etal.(2004)Phylogeography of White‐Spotted Charr(Salvelinus
leucomaebnis)Inferred from
Mitochondrial DNA Sequence Zoological Science 21:229‐240)。
そしてこの度、大村が秩父地域のイワナについて遺伝子解析の仕事をする機会を得て実験をしているところです。具体的にはマイクロサテライト(注1)分析を行い、集団遺伝学的解析(注2)により、集団による多様性の違いを明らかにする予定です。なお、これに関連して2006年7月、8月に大洞川への移植伝承のある山梨県一之瀬での試料採取を行いました。
遺伝子解析実験の様子(慣れない仕事に悪戦苦闘)
(注1)
DNA上で塩基の配列中に、同じ構造を持つ部分が2〜5対繰り返し並んでいる部分のこと。種内の系統関係や個体群内の血縁関係を調べる上でマイクロサテライトの存在が重要視されており、近年、集団遺伝学や生物社会学の研究に利用されている。
(注2)
集団(同じ種の個体が集まってできるグループ)の遺伝的な特徴を見出す方法。
お 知 ら せ |
総会開催します
1、日時 2月24日(土) 午後1時半〜
2、場所 秩父婦人福祉会館 1F 第4会議室
3、住所 秩父市野板町1-13-14
TEL 0494-22-4050
※飼育池作業 午前10時〜
※終了後、懇親会を予定しています。
連絡先
Eメール <mailto.amp@bb.wakwak.com>
amp@bb.wakwak.com
п@0494-24-4047 須崎
|
|