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 荒川水系渓流保存会 会報 第20号 (2005年)
●荒川水系渓流保存会会報 第20号  編集責任 黒沢和義

発眼率90%越える                  須崎 武男

 11月6日、180匹ほどのイワナから15万粒の卵を採ることができました。2年魚はまだ卵が小さかったのと、時間に余裕がなくなってしまったことから、20匹程度を採卵するにとどめ、主に4年魚から採卵しました。
 採卵後の状況ですが、筒状孵化器は水生菌の発生は抑えられたのですが、水が止まってしまったために、ほとんどの卵が死んでしまいました。
 金山沢の卵は孵化盆の脇から水が漏れないようにしたこともありほとんど死卵もなく検卵作業が簡単に済んでいます。
 今年は発眼率は例年に比べ極めて高く90%をこえていたと思います。未受精卵もほとんどありませんでした。水生菌の発生も抑えられています。この原因としては、水温が例年より2℃ほど低いこと、水量を多くしていること、が考えられます。
 どうも卵が動かない程度であるならば、できるだけ水量を多くした方が水生菌の発生は少ないように思われます。

◆写真1  雌雄選別
      ◆写真2 採卵       ◆写真3 採精
      ◆写真4 受精      ◆写真5 給水

−第4回秩父イワナ調査−        厚目 順

 9/17(土)〜18(日)入川流域において本年4回目の秩父イワナ調査を行いました。
 1日目は5名で赤沢出合より本谷を調査しましたが、さすがにこの区間は水量が多く渓も深いため遡行は厳しく難儀しましたが、皆で協力し何とか柳小屋まで辿り着くことができました。
 小屋で2名が合流し夜は恒例の焚火を囲んでの宴会となりました。シイタケの串焼きや焼肉、途中で採取したヒラタケ、ナラタケの味噌汁等をつまみながら、今年の調査や各地の渓の話題で盛り上がりました。
 2日目は4名が真の沢千丈の滝上を魚止まで、他の3名は股の沢や本流下部に入りました。
 連休の為釣り人が多かった事を差し引いてもイワナ達の反応は少なく入川源流部の魚影は少なくなっているように)感じました。
小屋に戻って昼食をとり、1年間世話になった柳小屋に感謝しつつ内部を綺麗に掃除してから帰路に帰路につきました。
 調査に参加された皆さんお疲れ様でした。
    ◆写真  源流の滝にて 

2005年度『第29回奥秩父大滝紅葉祭り』に参加して
                              佐藤 淳
 

日程:10月30日  場所:大滝中学校グランド

参加者:書上、厚目、大村、佐藤


 今年は合併秩父市誕生記念ということもあり、歌手島倉千代子さんの人気も手伝ってか、例年以上の賑わいで来場者も2000人以上と大盛況でした。
 保存会のブースにも多くの人に来ていただき、保存会で発行した書籍「秩父イワナ−在来種を守るために−」を90部用意しましたが、午後2時頃には全て配布済みとなり良いPRが出来ました。
 来場者の方々の『秩父イワナ』と『秩父の渓流』への関心の高さが伺え、喜ばしく思いました。また、今年も新しい会員を迎えることが出来ました。
      ◆写真1 本会の展示 ◆写真2 会場の様子




 総会開催します
 1、日時 2月26日(日)  午後2時〜
 2、場所 秩父婦人福祉会館 
 3、住所 秩父市野板町1-13-14
       TEL 0494-22-4050
 
 連絡先
  Eメール <mailto.amp@bb.wakwak.com>
        


中央水研でイワナ研修会行われる  
                      石川 晃一、大村 和也



 11月27日に独立行政法人水産総合研究センター中央水産研究所内水面研究部日光庁舎でイワナについての研修会を行いました。
当日講師をお願いした山本祥一郎水産学博士から特に遺伝関係の内容の濃い話を聞くことができました。また、施設見学も行い今後の活動の参考になりました。以下、石川さんがまとめた要旨です。

 日本のイワナはオショロコマ(dolly varden)より北米のbull troutに近いことが最近分ってきた。
 イワナの違いはニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギといった地域的違いが遺伝子解析で証明できると仮定していたが、実は河川間での特異的遺伝マーカーが検出され、これはおそらく氷河期と間氷期の繰り返しにより、イワナが陸封されて地域特異的な進化を遂げてきた証拠かもしれない。
 知床のオショロコマの中には間違いなくイワナとの自然交雑したものが存在する。
 在来種の保護に関して砂防ダムの上流と下流を較べると、明らかに上流部のイワナの遺伝的多様性は低下しており、このまま放っておくと、上流域の水量とか魚体数にもよるが30-100年で絶滅する。
 砂防ダムの多くが1970年代から造られていることから考えると早いものは既に絶滅している可能性が高い。
 また、遺伝的多様性の低下がもたらすものとして@成長量の違いA奇形の発生 B移動量の違い等があげられる。(函館近郊での調査で証明)
 

保全のための方策
1)生息域の質および量の増加拡大
2)移植による遺伝的多様性の確保
   (支流間での十分な科学的根拠があるという前提)
3)生物学的コリドー(回廊)の造成
4)絶滅した地域での再生産

特に2)が問題となるが、移植による遺伝的多様性は初期実験としては成功しているとの事。
 養殖あるいは増殖においては継代飼育による適応低下が起こり自然に戻した時にまったく生存できない個体が産出される可能性があるので、飼育はなるべく小さい池を多く用いて少数集団での繁殖を試みる方が良い。
 現時点である技術を用いることにより(PCR法と遺伝子解析)、(移植種判定(よそ者鑑定)も可能となってきたので、水系の保護などのための科学的根拠として使用していくことが望まれる。
 移植においては、滝上移植などがよく行われるが、滝上に本当に魚が居ないのか?(居ることの証明は簡単だが居ないことの証明は難しい)魚が移植されることによる生態系の変化等もしっかり検討せねばならず、安易な移植放流はその河川全体の遺伝的特異性を阻害する恐れがある。

◆写真1 日光庁舎入口

◆写真2 研修の様子

番外編 イワタケ取り        阿部 文治

 イワナ調査で源流部への往復には道なき道を通ること(迷子?)もあります。そんなときにイワタケの群生に出会う機会があり、それ以来3年続けてイワタケ取りに山へ入っています。
 イワタケは、掌大に育つまで10年かかるといわれていますので、毎年一定量収穫するにためには10箇所の群生を知っておく必要があります。でも絶壁に群生していることと小さなものは収穫しないため、家族で楽しむ量を確保する程度でしたら5箇所をローテーションしていけば充分なのかも知れません。
 イワタケは絶壁に群生しているため、収穫には危険が伴いますが安全に取れるところもありザイル無しの関根さん、佐藤さんのほうが収穫が多かったようです。
 会長と私は、山関連の書籍で勉強し、装備を購入しそれぞれ自宅で猛練習?を積んだのに。でも安全に懸垂下降できる装備を購入してあれこれと考えるもの一つの楽しみなんですけどね。
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