●荒川水系渓流保存会会報 第5号 編集責任 黒沢和義 イワナに関する事業の充実を目指す 吉瀬 総 4月28日に、新井教夫さんと埼玉県水産試験場熊谷支場へ、秩父イワナの受け取りに行った。待ち合わせの時間より少し早く着いたので、支場の横を流れる元荒川をのぞきに行った。ここは川幅約1.5メートルほど。住宅街を緩やかに流れるきれいな川だ。 昭和30年代に都市郊外でよく見られたような感じの川で、ゆらゆら揺れる藻に懐かしさが漂う。去年来たときと同じように、川辺には、キショウブが咲き、尺近いニジマスが定位していた。 ここは、ムサシトミヨの生息地。 澄んだわき水が豊富で、しっかり保護されているから、住宅街にマスが棲むことも可能なのだ。 流れのわきに、白斑も鮮やかな大魚が一匹。 どう見てもニッコウイワナだが、秩父イワナとは違いすぎる。 それにしても、ドプのような場所に40センチイワナとは、ちと冗談がきつすぎるだろう。 現在の元荒川は、ただのきれいな小川だが、この川の名には、重要な意味がある。 元荒川とは、読んで字のごとく、元の荒川だ。 江戸時代に、幕府は、関東の穀倉地帯を洪水から守るために、荒川と利根川の付け替えという大工事を敢行した。東京湾に流れていた利根川を鹿島灘に流すとともに、荒川をそれまでの入間川に流すようにして、埼玉平野の安泰をはかったのだ。 古い川筋は完全には消えず、荒川は元荒川として、利根川は古利根川として残った。 江戸時代には、秩父イワナも秩父ヤマメも陸封されていたから、荒川水系のヤマメやイワナは、現在の荒川ではなく、元荒川を通って秩父にやってきたきたやつらの子孫なのだ。 時間通りに、新井さんが来た。 去年のようにしばらく、養魚池を見学。 それにしても、湧水の水量がすばらしい。 イワナもヤマメもニジマスも、おそろしく太っている。 ヤマメは2年仔だというが、すでに40センチにはなっている。 保存会の成魚池にいるヤマメの何倍あるか、わからないくらいだ。 支場の大友さんと話をするついでに、秩父イワナのCD-ROMを進呈した。 水産試験場で秩父イワナを飼育しているが、釣り人の目から見た秩父イワナとどこが同じでどこが違うか。 どのような議論も、イワナを目の前にしなくては、始まるまい。 保存会として、参考資料を提供したいというと、大変貴重な資料ですと言っていただけた。
長旅の疲れも見せず、ホースから流れる水に向かって元気よく泳ぎ出す姿はなかなか頼もしい。 これなら、エサに慣れれば、池に入れて大丈夫ではないかと思った。 昨年は、初夏にえら病に見まわれたが、今年は無事に大きくなってほしい。 釣り大会のお知らせ 御崎 武男 今年は、イワナが病気になることもなく順調に育っています。5月末にヤマメとともに稚魚池に入れました。イワナは、約1000匹で体長も大きいので、ヤマメの数は減るのではないかと思います。 ここで、会員の方の親睦を図るため下記のように、釣り大会を計画しました。遠方の方の参加も考え、開始時間も遅くしました。ご家族で参加し、ヤマメ・イワナの飼育状況を見てもらえればと思います。よろしくお願いします。 記 <更新>1999.7.24 1 日 時 7月11日(日) 11時開始 小雨決行 (8月8日(日) 11時からに延期) 2 場 所 武甲ます釣り場(飼育養魚場)下流堰堤付近 3 会 費 1000円(会員家族無料) (8月8日は無料。ご家族の参加も可) 4 放流魚 ニジマス・ヤマメ(2年魚を間引いたもの) *場所が狭いので、場所をゆずり合って釣ってもらうようになります。 *焼き肉(ホルモン)と魚が焼ける準備をします。飲み物等は各自用意してください。 *雨天の場合には、計画が大幅に変わるかもしれません。 *9時頃より準備を始めます。都合のつく方は手伝ってください。 *当日の会員受付もします。この活動に興味を持っている方がいましたら誘ってみてください。 前回の釣り大会では、子供でも尺ヤマメを釣ることができました。今回は、前回ほどヤマメは放せないとは思いますが、子供さんも川遊び等十分楽しめると思います。多くの方の参加を待っています。尚、準備の都合上、参加の連絡がもらえると助かります。 連絡・問い合わせ先 事務局・笠原釣具店(0494−23−0466) 須崎 武男 (0494−24−4047) 稚魚放流 黒沢 和義
朝から山の池に集まった会員は手分けして他の補修や送水管の補修を行う。 私は吉瀬さんや藤木さん達と山の送水管の補修に向かう。 池にはこの時期山から産卵に下ってきたヒキガエルの群が重なり合っている。 4月から5月にかけての約2週間が産卵の季節なのだ。 カエル達はどこにこんなにいたのか?という程の数で池を覆い尽くす。
川が増水しているので足場を気にしながらの作業になった。途中送水管がゆるんで水が噴き出し、吉瀬さんがびしょ濡れになるハプニングもあったが、何とか補修を終えて池に戻った。
でも同じ作業を協力して行い、一尾でも多くの稚魚を放流しようとする。 秩父には秩父の魚がいて欲しい、ただそれだけの思いで、この作業はくり返されている。
ニリンソウが咲きヤマプキが眩しい渓流に山女魚の稚魚が群れている。そんな秩父の渓流をつくりたい。
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