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 秩父イワナの稚魚飼育 (1998年5月1日)

 いよいよ秩父岩魚がやってくる。水産試験場に稚魚を受け取りに行った。

 5月1日(金)朝8時半。埼玉県水産試験場熊谷支場の支場長鈴木栄さんは我々を笑顔で迎えてくれた。昨年来、秩父岩魚について問い合わせをしたりお願いをしてきたりしていたが、今日やっと念願の秩父岩魚を見ることが出来るのだ。

応接で鈴木支場長と語らう。いろいろな話が出て盛り上がる。

水産試験場の応接で鈴木支場長と話す新井さんと吉瀬さん。

にこにこと笑いながら色々話してくれた鈴木支場長。
 秩父岩魚はだいぶ以前から採捕されていたが、正式に予算がついて飼育され始めたのは昭和57年からの事だそうだ。採捕場所は中津川のガク沢、入川の奥、滝沢などで採捕されたとのこと。1カ所で特定して採捕したものでは無いようである。

 岩魚に多い病気の話が出た。せっそ病という病気があり岩魚はこれにかかりやすいのだ。水温が10度を超えると発病することが多いので、当保存会で飼育する際、水温チェックも重要な作業になる。病気で全滅などという事態は何としても避けたいものだ。

 飼育についての話がヤマメの話になると新井副会長と鈴木支場長の会話に熱がこもってくる。私と吉瀬さんは専門用語が飛び交う会話をただ聞いているだけになってしまった。

 親魚の飼育池を見せてもらう。池は大量の地下水を循環させる形で作られており、ヤマメ、岩魚が雄、雌、大きさ別(何年生で分けてあるのか?)などに細かく分けて飼育されていた。

水産試験場の養魚池。豊富なわき水で渓魚を育てる。

水産試験場の横を流れる天然記念物ムサシトミヨ自生地。
 40〜50センチはあろうか?という岩魚が人影に敏感に反応してビュンビュン泳ぎ回るのは豪快である。丸々と太り、ヒレがボロボロになった巨大な岩魚は我々が釣りでお目に掛かる岩魚達とはまったくの別物だが、これがまぎれもなく秩父岩魚の親魚なのである。

 水産試験場には見学用の水槽があり、そこには岩魚・ヤマメ・ニジマス・かじか・ムサシトミヨのそれぞれの水槽があり、観察出来るようになっている。秩父岩魚を水槽で見ると山で見る岩魚よりもずいぶん色が薄い。多分これは水槽という環境のせいだと思う。そして、いろいろ論争があったが、この秩父岩魚はまぎれもないニッコウイワナだった。

水槽で飼われている秩父岩魚。これが親魚になる。

水槽を覗き込む吉瀬さんの真剣な目。
 受け取る稚魚は全部で2000尾。500尾ずつビニール袋に入れられて水と酸素を充填してあった。これを車に積み込み、支場長にお礼を述べ水産試験場を後にした。支場長は我々に「飼育上の事で分からないことがあったら、何でも相談して下さい。すぐに行きますから・・・」と言ってくれた。保存会の活動を認めて、全面的なバックアップを約束してくれたのが嬉しかった。

水産試験場からビニール袋で運ばれた稚魚。

元気に泳ぐ秩父の稚魚。これから元気に育ってほしい。
 稚魚は今、奥の水槽2基に1000尾ずつ入れられている。4センチ程の魚体だが、そんなに小さくてもヒレが赤い。これから4年かけて立派な秩父岩魚に育って欲しいものだ。

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