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 4.12 放流記 (1998年4月12日)

 養魚池のある生川(うぶかわ)一帯は、桜が満開。池のわきを、武甲山に登るハイカーが、ひきも切らず登っていく。足元ではニリンソウの群生が一斉に開花し、トウを立てたワサビも咲き始めていた。

可憐な白い花が美しいニリンソウ。

わさびの花も咲いている。
 三々五々集まってきた10数名のみなさんが、手分けをして、それぞれ今日の仕事に取りかかった。

 副会長の新井さんたちは、雪と老朽化で傷んだ導水パイプ受けを新しい鉄パイプで補修する仕事。プロがいるので、とてもしっかりした仕事ができた。

パイプの補修、修理はとても大切な仕事です。

傷んだアミを修理する、これも大切な作業。
 養魚池では、会長の須崎さんの指示で、昨年抱卵しなかったヤマメを全部すくって、選別する作業。大きすぎるもの、小さすぎるもの、口に傷のあるものを探して、別の生けすに移し替える。

 大きすぎるのは、仲間を食べてしまうため。小さすぎるのは、発育不良のため。口に傷のあるのは、病気にかかりやすいため。

 これらのヤマメは、今日のうちに放流してしまう。一番でかいやつは、尺オーバー。これを釣った人は、たまげるだろうな。

 手の空いている人は、稚魚池の掃除と水張り。ブロックを積んで区画を分ける。子どもは声援だけ。

 生けすを稚魚池に移し、養魚池の掃除。水を干して、たまったヘドロを洗い流す。どう見ても、サカナにとって快適な環境とは言い難いが、見ちがえるほどきれいになった。                                   

稚魚池の清掃、子供達は横で遊び回る。

すっかりきれいになった稚魚池。
配線関係や池にかぶせる網も補修しなければならない。この会では、流用品や貰いもので資材を調達しているのだ。

 水槽では、3センチ足らずにまで成長した稚魚が泳いでいた。パイプ受けの補修を終えた新井さんが計量すると、約80尾で50グラム。1尾の重さが約0.6グラムほどだ。                      

1尾ずつ数える。成長の度合いが気になる。

稚魚の重さを計る。放流前の大事な作業。
 計量の際に水から上げるので、水槽に戻すと、失神したまま腹を上にして動かないので、やや心配。しかし、エサを絶ってある稚魚は、まもなく正気に戻って、元気にまた泳ぎ出す。

 池での作業が一段落すると、放流予定場所を事務局長の笠原さんに申告し、持参したオトリカンに稚魚を入れてもらって、これまた三々五々散っていった。

 養魚場をあとにすると、気温はあまり上がらないとはいえ、車の中は暑いので、気が気でない。安谷川に着いても、稚魚たちが元気だったので、ほっとした。

 放流地点を探して歩いていると、餌釣りの釣り人に出会ったが、話しかけようとしたらそっぽを向かれた。今日は何ごとか話をしたい気分なのに、残念。

 10尾くらいずつ、数十ヶ所に分けて放流した。今まで、ほとんど流れのないところで、エサをもらって暮らしていた稚魚たちに、雪シロ混じりの激流はきつそうだが、それでも懸命に泳ぎながら、らくなところを求めていた。

 保育園を卒業してすぐ社会に出るようなものだが、したたかでスキのない、安谷ヤマメに育ってもらいたいものだ。

 水の入ったオトリカンを持ち歩いたため、腕が棒のようになってしまった。沢を下りながらあたりを見回すと、ハナネコノメ、ニリンソウ、カタクリ、マムシグサなどの花が、春の訪れを謳歌していた。

 道ばたにはヤマブキ、岩場ではミツバツツジが咲き始め、今年の渓流釣りシーズンの到来を告げていた。

 さあ、釣りに行こう。
(吉瀬 総記す)

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