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 滝川水系における他県産イワナの系統について (2004年8月16日記)
 これまで2回にわたり「秩父在来イワナの危機的状況」として荒川水系に乱放流された非在来イワナの現状を取り上げて来ましたが、ここではその影響が最も大きい滝川水系の他県産イワナについての調査を整理して報告します。この報告内容はAMP会員の長年の調査によるものです。

現在、滝川で確認されている他県産イワナは次の3系統です。

@滝川上流部で右岸より本流に入るブドウ沢に放流され(恐らくは源頭放流と思われます)下流域に生息
 範囲を広げている系統。この個体群は滝川で最も古い密放流イワナです。

Aブドウ沢直下の連瀑帯の下あたりに放流された系統。このイワナがはじめて確認されたのは2000年で
 した。これと同様のものが滝川中流で右岸より流入する曲沢及び金山沢にも放たれています。この個体
 群は着色斑を持たず、体色が青白いまるで鯖のような魚です。これらは猛烈な勢いで在来種と交雑し遺
 伝子汚染を引き起こしています。

B豆焼沢の現在の出会いの丘にあった雁坂トンネルの飯場で、他県産イワナを使った釣り大会が行われ
 た折、残ったイワナを放したものが自然繁殖し、滝川本流に拡大しているもの。

滝川の本支流には元々他の秩父の谷同様、濃橙の着色斑をもつ「秩父イワナ」が生息していました。しかし近年上記のように明らかに在来種ではない魚か釣れるようになり、今では一部の奥域を残し在来イワナはその姿を消しつつあります。

 イワナの放流はそこに生息する魚の系統を調査したうえで、放流する種魚がその系統の天然魚由来のものであるなら問題は少ないわけですが、在来魚の系統を無視した放流は生態系の破壊にほかならず天然魚の棲む谷の価値を著しくおとしめたことになり、貴重な在来イワナの釣り場としての価値をも失わせるものです。誤った無自覚な自主放流はそれが善意から発しているとしても絶対にやめていただきたいものです。(1998年つり人社刊 源流伝説より引用)

 AMPでは滝川だけでなく荒川の他水系についても引き続き生息調査を行っています。
   
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